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2020年01月31日 [ニュース]

現代版代替わりで凛として未来へ 〜バトンタッチのタイミング〜

旧民法の時代、日本には確固たる「家」という概念がありました。そこでは家長と呼ばれる父親がしっかりと家族を束ねコントロールしていました。そして、家長が還暦ともなると、家族を集めて正座させて隠居宣言をします。家長を引き継ぐ長男に家のこと、家族のこと、そしておカネのことを託した上で、みずからは隠居して第一線を退く代替わり(家督相続)というシステムがあったのです。

年金制度のなかった時代です。わが子にすべてをバトンタッチした父親は、あらかじめ協議して決めた月々の生活資金を子どもから受け取り、残りの人生を身の丈に合ったレベルで穏やかに過ごす…。そんな時代でした。私の両親の実家の様子を思い出してみても、家族や親子の絆というものが、今日よりも強かったように感じます。

過去14年にわたり、たくさんのシニアの相談に対応してくる中で、かつての日本の「代替わり」というシステムが令和の時代でもかなり有効に機能するのではないかと思っています。親が一定の年齢もしくは状況になった時点で、そして、意思決定能力や意思疎通能力が損なわれてしまうまでのタイミングで、なるべく早期にエンディングまでのサポートを具体的に依頼する。併せて、サポートに係る費用はもちろん、親が住んでいた実家の扱いや預金等の財産を節税に配慮しながら子どもたちにシフトしていく。そうすることで、いや、そうすることこそが、いつもしものことが起きたとしても、最後のさいごまで自分が描いたとおりに人生をまっとうできる唯一の方法なのではないでしょうか。

子どもの側からすれば、親のエンディングをサポートするという作業だけを求められるのとちがい、財源も具体的に提示され、相続予定のおカネまでをも親の生前から徐々に自分の口座に振り替えられるわけです。託される作業と財産について、親がまだしっかりしている段階で面と向かって説明を受け、バトンタッチを交わすのです。このプロセスゆえに、このギブ・アンド・テイクゆえに、親の老後を支えようという覚悟が子ども側に芽生えてくるのだと思っています。

さて、問題は、代替わりのタイミングです。いくら人生100年時代だからといって、まさか90歳になったら…なんておバカなことを言っていてはいけません。高齢になればなるほどに、令和時代最大の脅威である認知症に陥ってしまうリスクが高くなるのですから。でも、若年性アルツハイマー型認知症といって、40歳くらいからボケてしまう人がすでに10万人以上もいるからといって、40歳までに老い支度を終えておきましょうというのも賛同を得づらいと思います。

なので、現時点ではこう提唱しています。四捨五入百世代(50歳以上)になったら老い支度に取り組むことが望ましい。そして、健康保険証が切り替わる75歳をタイムリミットとする…。国民の10人にひとりが認知症になる時代がすぐそこまで来ているとはいえ、誰がいつそうなるかはGod knowsです。なので、子どもたちのことを本当に思っているのであればできる限り早いタイミングで覚悟を決めて、いったん決めた課題ごとの要望&依頼事項に変更があってもなくても、年に一度は親子で向き合うことを習慣化するのが理想です。変更がなければ、親子で食事をするのでもいいし、酒を酌み交わすのでもいい。ゴルフでも旅行でもカラオケでも麻雀でもいい。年に一度、親子で時間を共有する。その積み重ねが親子関係を密にし、親子の絆を少しずつ深めていくのだと思っています。親世代にしたら、子どもと一緒に配偶者や孫が実家に顔を見せに来てくれる幸せな時間かもしれません。逆に言うと、ギブ・アンド・テイクも含めた老い支度ミーティング以外に、親子できっちりと向き合う機会なんて年に一度だってないのではありませんか?

人生100年時代です。20数年後には、ふつうに健康な人の平均寿命が100歳になる見込みです。還暦という言葉は人生60年でふりだしに戻るという意味があるのですが、令和時代は100歳まで生きる前提で老い支度もプランしていかねばなりません。よく人生100年の成長モデルという話をします。

ほんの数十年前までは、還暦に当たる60年を3分割して20年ずつ、「自分さがし」・「自分づくり」・「自分のこし」としていました。でもこれからは、100年を25年ずつ4分割します。で、遅くとも75歳までにはすべてを子どもにバトンタッチしてしまう。現代版代替わりです。で、さいごの25年は、ギフトだと思って第2の人生をさがす旅に出るのです。自分の好きなこと、やりたいことを追い求めるのです。財産の多寡にもよりますが、年金に加えて、子どもたちからも月々の支援をもらいながら…。なかなか粋で乙なものだと思いませんか?

人生のファイナルステージをそんな穏やかなものにするためにも、まずは目の黒いうちに足元を盤石にしておくことです。認知症にならないような創意工夫を凝らす一方で、認知症になってしまったとしてもさいごまで自分の人生の主役でいられるように。判断能力やコミュニケーション能力が損なわれる前に子どもたちに伝えておいた青写真を、子どもたちのサポートを得ることで実現できるように。これこそが、法律や制度や契約に依存するのではなく、親子の絆で紡ぐハッピーエンディングストーリーではないでしょうか。

秋から冬にかけて、例年、親子間の哀しい事件が多く報道されるようになります。でも、親子の絆というのは、そんなにバカにしたものではないと思っています。重要なのは、親の側が元気なうちにそなえておくことです。その内容をエンディングの支援と財産を託したい子どもたちに、自分の言葉で真摯に伝えておくことです。そんなプロセスを共有しておけば、銀行も弁護士も家庭裁判所も不要だと思います。

読んでいただいたみなさんが目の黒いうちに老い支度に取り組まれて、親子の信頼関係の下、生涯主役人生をまっとうできるよう心から願っています。


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